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セフレ「生理が来ないの」妊娠検査の結果は?結婚?

セフレから生理が来ないって連絡が来たんだが・・責任取って結婚すんの?

3月のはじめ、2月の強烈な寒さも少しは和らいだ気がした。それでも油断をすると思い出したように気温が下がる。

風が窓を叩いて、「ウーウー」と音たてている。

「ゴホゴホ!!これって春何番や・・?うるさくて寝られん。・・ゴホゴホ!」

そんな「季節の変わり目」というヤツに翻弄されて、俺はまんまと風邪を引いてしまっている。

 

38度3分の熱で関節のいたるところが痛い。幸い頭痛はないが、ゾクゾク感が不快すぎる。

この季節は俺の体にとって、あまりいい思い出がない。

 

「う〜あ〜・助けて・・。」

 

30代後半にさしかかったオッサンにもなると風邪の治りが遅い。吹き荒れる風に共鳴するようにウ〜ウ〜と悲鳴を上げていた。

彼女(苺女)がつくって持ってきてくれたおかゆの残りとオレンジゼリーをすすっている。

スプーンでなんとか胃の中へ流し込むと、風邪薬を水とともに飲み込んだ。

病の中で胸騒ぎ。届いたLINEに嫌な予感。

もう一人の彼女(衛生女)は、こういう事には、興味がないようでLINEで「大丈夫?」と聞かれただけ。看病する気もなさそうだ。

彼女は歯科衛生士だ。医療系で働いている人は弱っている人や、痛がっている人などを日常的に見ているせいか、風邪ぐらいでは心配するに値しないということだろう。

 

そんな事よりも、院長のグチでも聞いてやるほうがよっぽど盛り上がるに違いない。

嫁にするならやっぱり苺女なんだろう。だが彼女ももうすぐ東京に行ってしまう。

 

(・・悲しい。)

 

ピコン!

 

そんな時、スマホから通知音が鳴った。

 

(ああ・・心配してLINEでもくれたのかな?ありがたや。)

 

俺は関節の違和感を感じながら、ゆっくりと枕元のスマホに腕を伸ばす。

 

(あれ・・?苺女じゃない・・。)

LINEの相手はセフレポジションの「ロリ美」だった。彼女からのLINEは実に1か月ぶりだ。

 

(おお・・久しぶり・・飲みの誘いだろうか?)

俺は、力の入らない指先を使って、メッセージを開いた。

 

ロ「YUちゃんお久しぶり!元気にしてますか?あの~ちょっと相談したい事があるんだけど明日とか会えますか?」

ロリ美の少しかしこまったメッセージは、1か月半の距離感を感じさせる。

ロリ美の前回

女の子とホテルに行きたいなら遠くへ行こう。やあ!あけまして!新年はスタートしている。1月2日に、名古屋の実家から、福岡に戻る。まずは苺女と初詣。宗像大社へ。1月4日に衛生女と初詣。筥崎宮へ。姫はじめ。こちらの伝統「三社参[…]

「何やら胸騒ぎがする。」

・・そして事態は思わぬ方向へ発展していくのだった。

勧誘?借金?内容が「相談」だと、高確率でヤバい件

久しぶりにロリ美から届いたメッセージ。「相談」と来るあたり、どうやら飲みの誘いではなさそうだ。

 

(なんか違和感を感じるダニ)

 

この流れでくる考えられるのは、借金の無心だろうか?それとも何かの勧誘かもしれない。

 

(こういうの、めんどくせえなあ・・。)

体調不良もあってか、俺は返事を返さないまま眠りについた。「既読無視」というヤツだ。

 

目が覚める。カーテンから漏れる光は無くなっていた。

スマホを見ると午後6時すぎ。どうやら3時間ほど眠ったようだ。

体は少しだけ楽になっていた。関節の痛みも和らいだ。その変わりに背中の辺りに、言いようのない不快感を感じる。

 

「おお・・めっちゃ汗かいとるがな。」

スウェットの中に手を入れると、しっとりと濡れていた。風邪汁だ。

きっと俺の白血球が、体内でウイルスと激戦を繰り広げていたに違いない。

 

このままだと熱が上がりそうなので、急いで熱めのシャワーを浴びて、下着を代えてスッキリのさっぱりだ。

 

(そういえばLINE返してなかった・・。ロリ美の相談ってなんやろ?このまま放置するのもかわいそうだし。)

気になって、俺はスマホを手に取る。

 

「風邪引いてて、死んでた。返事遅れてごめん。久しぶりだね。ところで相談したいことって何?」

送った瞬間に既読が付く。

 

(コイツずっとスマホ弄ってたんか?)

 

既読がつかないのもイライラするが、すぐ付くのも、怖い。

「ピコン!」返信が届く。早い!

 

ロ「風邪大丈夫かな?必要なものあったら言ってね。体調悪いところ申し訳ないんだけど、会って話したいんだけど。」

ロリ美のLINEはいつも顔文字が多い。しかし今回は顔文字が一つも含まれていなかった。

それが妙に「真剣味」を帯びていた。

 

(・・すごーく嫌な予感がするんですが・・。)

 

風邪とは違うバージョンの悪寒。精神的にこっちの寒気が辛い。

 

「うーん。今日はちょっと厳しいから、明日でもいい?できたら要件だけでも教えて欲しいかな。」

やばい案件だったら、丁重にお断りしよう。

「生理が来ない」と聞かされた時の男の心境

ロ「あのね・・生理が来なくて。どうしたらいいかわかんない。」

「!!!!」

ゾッとして体は冷えて行くのに、頭だけが沸騰するように熱が上がっていく。これはきっと風邪の症状ではない。

 

俺は、若い頃に赤面症だったこともあり、人前に出たり、テンパると顔が上気して赤くなるクセがあった。

今では、ずいぶんマシになったが、やはり自分では制御できないほど追いつめられたり、パニックになると、顔面に血が上り、汗が噴き出す。

もちろんそれは自分でも解る。そして今まさに、それが起きている。

 

「生理が来ない。」

この言葉は、きっと世の中のほとんどの男性から、良くも悪くも冷静さを奪うことだろう。

 

ロリ美からLINEで詳しい内容を聞こうと思ったが、頭がこんがらがって、文章がうまく出てこない。

なぜかスマホを持って、キッチンへと向かう。換気扇の下でタバコに火をつけた。指が猛烈に震えている。

 

(あっ・・ダメだ。震えが止まらねえや。)

 

LINEでのやりとりを諦めて、ロリ美に電話をかけることにした。

震える指で、アドレスからロリ美の番号を呼び出す。そして電話をかけた。

 

プルル音の合間に、血管がバクバクと波打つ音が聞こえる。

「ハアハア」という自分の呼吸も聞こえた。今、血圧や脈拍を測ったら飛んでもない数字を記録しそうだ。

 

(落ち着け―!深呼吸だ!)

深呼吸しているつもりが、なんか・・過呼吸っぽいんですけど。

 

ロ「・・もしもし。」

「えっと・・いま大丈夫?」

ロ「うん。YUちゃんも風邪大丈夫?」

「大丈夫」でけん制しあう二人。

 

「あの・・LINE見たんだけどどういう事かな?」

ロ「えっと・・ね。」

沈黙が訪れる。

 

ロ「その・・もうかれこれ2か月くらい。生理が来ないの。」

 

あ、あ、アウトー!

 

「もしかして・・ちゃった?」

声がどんどん小さくなっていく。

ロ「・・ごめん良く聞こえなかった。」

「あの・・出来ちゃった?」

ロ「・・妊娠ってことだよね?」

「うん・・。もしかして相手は俺という可能性が・・ボソボソ・・。」

ロ「今年に入ってYUちゃんとしかエッチしてない。」

「・・はい。(アウトオ!)」

でもチェンジはできない。

スマホを持つ手を変えて、キッチンにかかっているタオルで汗をぬぐう。

 

「検査は・・した?」

ロ「まだなの・・怖くてできない。」

「え?」

ロ「え?」

 

「あ・・ごめん。そっか・・。明日さ・・うちに来れる?」

ロ「仕事終わりで遅くなっちゃうかもだけどいい?」

 

「うん。待ってるね。一応仕事終わったら連絡ください。」

ロ「うん。・・ごめんね。」

「じゃあ明日。」

電話が切れる。

 

「あー!あー!あー!あー!あー!あー!あー!あー!あー!あー!」

 

俺は換気扇を仰ぎながら、しばしの間、奇声をあげつづけるのだった。

「生でした?」「中出しした?」心当たりは?

混乱のさなか、呆然としながら、水道水をガブガブと飲んでいる。

もうコップ何杯飲んだのだろう?でもまだ喉が渇いているような感覚がある。

それでも少し効果があったようで、さっきよりも少しだけ落ち着く。

そして、ようやく頭が回ってきた。

 

(いつどこで・・?)

(1月だよ。)

(1月のいつだよ?)

(成人式の日だろ?ロリ美と佐世保に行ったじゃない。)

(エッチした?その時は酔ってたっけ?)

(違う違う!シラフだったろ。)

(嘘つけ!どこでだよ!?)

(ホテルで、朝方だったろ?)

(あー!思い出したああ!ゴムは?コンドームつけなかったのか?だってシラフだったんだろ?)

(・・つけてないっしょ。)

 

「あー!そうだったああ!おれのバカー!バカバカー!」

 

汁という汁をまき散らしながら、換気扇に向かって奇声を上げている。

通報されなかったのが不思議なくらいだ。

 

(あれは・・1月のとても平和な日だったなあ・・。)

(大ミスを冒しやがって!!どうすんのよ!?)

 

俺は、現実逃避と現実と向き合うを繰り返す。

タイムマシーンがあるのなら、「あの日あの時」に戻って、枕元にそっとコンドームを置いてやりたい。

これが、予定外の妊娠(仮)に対する男の心境だ。

彼女と一緒に妊娠検査する

(・・・行くか。)

 

コートを着て、ニット帽をかぶり、マスクをつける。コートのホコリを吸い込んでしまったのか、ゴホゴホと乾いた咳が飛び出した。

俺は自宅を出て行く。向かう先はドラッグストアだ。

足に力が入らない。まるでふわふわと浮いているかのような感覚だ。

俺みたいなダメ人間は、このままふわふわと幽体離脱して、天界へと召されるべきである。

 

神「あー。・・キミこっちだから。」

 

そして雑に地獄へと落とされるべきである。

とぼとぼと商店街の中にあるドラッグストアへ到着。

 

「チェックワン」

「ドゥーテスト」

この2種類を手に取る。一応カモフラージュも兼ねて、風邪薬の「眠くなるヤツ」もゲット。

 

検査薬を買うのは、凄まじく恥ずかしいけれど、今は恥を気にしている場合じゃない。

 

(店員さんが紙袋に入れてくれたよ!さらに外から見えない濃い色の袋に入れてくれたよ!ありがとう!あはは!)

泣きそうになりながら、家路に着く。

 

そして、風邪薬を多めに飲んで、布団へと横たわった。

頭の中では、なぜかhitomiの「LOVE2000」が繰り返し流れている。ああ・・懐かしい。

 

「愛はどこからやってくるのでしょ~?」

思い起こせば、前回の妊娠騒動は2010年。(トラウマ)

それから3年も経ってない。次はマジかもしれない。

「自分の胸に問いかけた~。」

頭の中でLOVE2000は流れつづける。

今後待っているであろう、自らの行く末を問いかける間もなく、次第に瞼が重くなっていく。

 

もしも夢オチだったら。現実逃避

朝が来た。風邪薬の影響で昨日は思ったよりもぐっすりと眠れてしまった。

もうLOVE2000は鳴りやんでいた。どこからやってきて、どこへ行ったのか。

 

熱を測ると37度。咳はまだ出るものの、呼吸もずいぶんスムーズだ。

飯を炊いて、梅干しを入れておにぎりを作る。

 

(もぐもぐもぐ。)

 

汗をかいたせいで、強い塩気が美味い。

 

(さて洗濯をしよう。掃除機もかけたいよね。)

洗面所に脱ぎ捨てられた、シャツを洗濯機に放り込む。

 

まるで昨日の出来事が嘘のように思える。

(もしかしてあれは、夢だったのかも?いや、夢だったんだ。)

 

妊娠が現実になるのが怖くて、スマホを手に取ることができない。

掃除を終えると、そのまま正午まで、布団に転がりながら、だらだらと過ごす。

 

(ここに・・いるよ。)

 

枕の横には、小さいながらも異様な存在感を感じさせる物体が転がっていた。スマホである。

まるで爆発物でも扱うように、慎重にその物体を手に取った。

 

目が覚めてから一度もスマホを見ていない。

俺は恐る恐るLINEを開いた。

 

新しいLINEが数件来ている。

今のところロリ美の名前は見当たらない。

(アハハ!やっぱり夢だったんや!)

 

「大丈夫?熱下がった?」

「なんか持って行こうか?」

「おーい!生きてる?」

彼女(苺女)からそんな6件のメッセージ。心配してくれてるんだ。

 

(さて・・次は・・。)

 

俺は、上目遣いにまま、あごを引く動作をする。(わけわかんない。)

 

「風邪なおった?」

衛生女からそっけない1件。らしい。

続けてあごを引いて行く。

 

「なんしよう?今のんでるっちゃけど?」

友達から1件。知らんがな。

グループLINEで盛り上がってるのもあった。見るのが面倒なので既読だけをつける。

 

そして・・・。

その下に・・・・

ロリ美である。

 

ロ「生理が来なくて。どうしたらいいかわからない・・・」

一覧のメッセージでもわかる。

俺はほとんど白目に近くなっている、上目遣いで隠そうとしても、それは夢じゃない。

そこには避ける事のできない現実があったのだ。

 

「んあー!んあー!!」

俺は、「んあんあ」言いながら、その時が来るのを待つのだった。そろそろ年貢の納め時だ。

検査薬3つの確実性。99%超。

ロ「仕事終わったから今からYUちゃん家向かうね。」

午後9時頃、LINEでメッセージが届いた。

 

ちっとも落ち着かなくて、俺はよそよそしく部屋の中を歩きまわりながら、スマホを眺めていた。

さっきから何度か壁や家具に激突している。

 

「大丈夫?迎えに行こっか?」

LINEの内容だけは、平静を装ってみたり。

ロ「ううん。近いし大丈夫だよ。ありがとう。」

 

とりあえず、コンビニでお茶とお水を買ってくる。

 

「ピーンポーン。」インターホンがなった。

 

(来た!)

 

心臓が素早く脈打つ。俺はドリフトしながら、インターホンの画面の前に立った。

 

「ど、どうぞー。」

 

急いで玄関へと向かい、ドアを開いて、ロリ美が現れるのを待つ。

エレベーターからロリ美が出てくる。

廊下には、彼女のヒールの音がコツコツと鳴った。

 

彼女は、こっちに気付いて、ぎこちない笑いを向けている。

 

「いらっしゃい。久しぶりやね。」

ロ「うん。元気にしてた?」

「お、ぉう。昨日まで風邪ひいてたけどね。」

ロ「あっ!そっかw調子は?」

「うん。ずいぶん良くなった。でも風邪がうつるといかんけん、一応マスクしとくね。」

母体に大事があってはいけない。

 

ロリ美が靴を脱いで、丁寧に揃える、そして俺の部屋へと上がった。

 

「・・お茶でも飲む?」

ロ「うん。いただこっかな。」

 

お茶を飲みながら、お互いぎこちない近況報告をした。

 

「さてと・・。じゃあ・・。」

 

俺はPCデスクに向かい、机の上に置いてある紙袋を手に取った。それを手に取り、ロリ美の前へと置く。

 

「やりますか・・。検査。」

ロリ美が袋を開けて中身を確認した。

 

ロ「・・買ってきてたの?妊娠検査薬。しかも2つも。」

苦笑いしながら、彼女は言う。

ロ「あはは・・恥ずかしかったでしょ?それなら二回用の買えば良かったのに。」

「に、二回用とかあったんか・・薬局の妊娠検査薬の場所で、まじまじと探す余裕が無かったわw」

ロ「そうだよねw男の人は恥ずかしいよね。」

そう言って彼女も自身のバッグを探る。

 

ロ「実は私も買って来たんだ。」

「チェックワン×2」「ドゥーテスト×1」

 

ちなみに妊娠検査薬の精度は99%以上らしい。なんと99%が3つだ。

 

元就「このように一本なら簡単に折れる矢でも三本そろえば・・云々。検査薬も三本あれば、ぶち確実。」

 

まさに、「三本の矢」である。・・心強い。

 

ロリ美は袋を掴むと、立ち上がる。

 

ロ「じゃあ行ってくるね。YUちゃんお手洗い借りるね。」

「うん。・・頑張って。」

 

三本の矢を持って、彼女は歩き出す。パタリとドアが閉まった。

 

今できることは、結果を待つことだけだ。

その結果によっては、俺の心がパキっと折れてしまうことだろう。

結果発表。ライン二つで、こんにちは赤ちゃん♡

問題:以下の単語を正しい順番に並べよ。

 

  1. 「妊娠」
  2. 「出産」
  3. 「赤ん坊」
  4. 「プロポーズ」
  5. 「パパ」
  6. 「恋愛」
  7. 「結婚」

 

順序が少しずれるだけで、こうも印象が変わってしまうとは。

人生2度目の「赤ちゃん騒動」だ。一度目で懲りたはずなのに。

もうパイプカットしたほうがいいと思うの。

 

とにかくここまで来たら、結果を受け入れて、観念するほかない。

好き勝手やってきた人生だもの。もう充分じゃないか。

これからは真っ当な人生を歩んで、良い父親になれるように努力しよう。

とにかく出来ていたら、彼女の意見を最優先しようと思う。

 

彼女が検査をしている数分間の間。俺はあれこれ考える。まるで過去ではなく、未来へ向かっての走馬燈のよう。

この数分間の時間がとてつもなく長い時間に感じた。

 

カチャリ・・。

トイレのドアが開く音がする。

 

(い、いよいよか!!)

ぞわっと全身に緊張が走った。

 

ロ「YUちゃん・・。」

「ど、ど、どうだった?」

ロ「ごめん・・・怖くて見れない。・・一緒に見てくれない?」

「うん。わかった。ど、ど、どうすればいい?」

ロ「便座の横に紙袋が置いてあるから。」

 

いやこれもう・・アウトのパターンやん。

 

二人でトイレへと移動する。

ドアを開けると、少しだけおしっこ臭がしたような気がした。

 

便器の横には、検査結果の入った紙袋が置いてある。

 

「こ、これの中やな?中を見たらいいのやね?」

ロ「う、うん。」

 

まるでゴキブリでも出たかのような立ち回り。

 

俺は紙袋を手に取る。

そして、中にある棒状のものをつかんだ。

オシッコが手に付着したかもしれないが、そんなこと構っている余裕はない。

 

「ど、どうだったら妊娠してるんだっけ?」

ロ「えっと・・縦線が2つ並んでたら。」

 

三つのうち、どれか一つでも、縦線が2つ並んでいるものがあれば妊娠だ。

ちなみに妊娠検査薬には、「判定窓」と「検査終了窓」というものがある。

ちゃんとした方法で検査した場合、「検査終了」の印として、必ず一本線が出るので、勘違いして気絶しないようにして欲しい。

「判定窓」に線が浮き出ると妊娠の可能性が大きい。(つまり合計で二本線が出ると妊娠の可能性大なのです。※チェックワン、ドゥーテストの場合。)

 

・・まさにサドンデス(突然死)。

 

「一本ずつ行く?それとも一気に行く?」

・・何楽しんじゃってんだよ。

 

ロ「一気に行って!」

「よし!一気に、いくぞ!」

 

バッ!俺は袋からアレを引き抜いた。

 

・・・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・。

 

「ない。」

ロ「え?」

 

ないぃぃ!シャアアッ!オラァ!

 

「線が出てない。一本だけ。三つとも。」

説明書を食い入るように確認する。

 

「つまり・・妊娠してない。」

ロ「ほんと?」

「マジで。見てみて。」

彼女に検査薬を渡す。ロリ美は結果をマジマジと見ている。

 

ロ「・・・ホントだ。」

 

へなへな・・全身の力が抜ける。

 

「なんだよおお!ビックリするやあん!」

ロ「ごめんね。」

「やめてくれよおおお!寿命ちぢんだああん!」

涙が吹き出しそうになった。

 

ロ「ほんとにごめんなさい。」

「今度寿司おごれよおおお!」

ホッとしたら、急に楽しくなっちゃって。でも以後・・気をつけます。

 

続く➡寂しい!遠距離恋愛の前に彼女と一緒に行った最後の熊本旅行。