彼女の見たい映画は意外にも「トランスフォーマー」
「いやあお待たせ!」
魚「・・・ごめんなさい待ち合わせ場所まで細かく決めてなくて。」
なんとか二人は合流を果たし挨拶を交わす。
早速エレベーターに乗り、JR博多シティの映画館「Tジョイ博多」へ。
「うわあ・・めっちゃ綺麗だねえ・・」
魚「くうてんっていう飲食店街もできたんですよ。」
福岡に住んでからというもの、何度か博多駅に足を運んだが、あまり散策はしていない。
人混みはあまり好きではないし(知らない街を散策するのはめっちゃ好き)、服なんかを買うのは最近はほとんど通販サイトを使っている。
引きこもりがちな俺でも住みやすい時代になったもんだ。
「そういえば最近ってデパートとかにエレベーターガールっていないよね。」
魚「確かにあまり見かけなくなりましたね。」
そんな会話をしながらエレベーターは勢い良く上へと上がっていく。映画館のある階へと止まると、窮屈なエレベーターが広くなった。
魚「この階です。」
「うわ!めっちゃ混んでる!」
魚「まだ出来たばかりだし今日は週末だからですかねえ。」
やはり新しく綺麗な施設には人が集まる。この場所もたくさんの新鮮な好奇心でうめつくされていた。
「んで何の映画みたいの?」
魚「ふふっ!これですよ!」
魚女がポスターを指差す。
(と、トランスフォーマー?)
女性的な彼女のチョイスにしては意外だった。
80%くらいの確率で一番人気のハリポタだと思った。もしくは邦画の恋愛物(ク○)でも選ぶんじゃないかと・・。
ちなみに俺はトランスフォーマー世代。
幼き頃におもちゃで遊び、ファミコンソフトの「コンボイの謎(ク○ゲー)」の難しさに悶絶した世代だ。
だからトランスフォーマーはなんだかちょっと贔屓目に見てしまう。
「でもなんでトランスフォーマー?」
魚「この前DVDで一作目見て、シェイア・ラブーフ(主人公)可愛い、バンブルビー可愛いってなっちゃって!」
(んん?可愛い??なぜにこれが母性をくすぐる?)
「おお!そうなんや!その気持わからん気もしないなあ・・(わからん)」
魚「トランスフォームしたくなっちゃったの!」
「ほう!それはぜひトランスフォームしなきゃね!(今夜は俺のあそこがトランスフォームするかもよ!)」
魚「早速チケット買いましょ!始まっちゃう!」
チケットは俺が払い、ポップコーンとジュースは買ってもらった。
そして新しい映画館の綺麗なシートに腰かける。
しばらく上映予定の映画の予告が流れ、そして館内が暗くなった。幕が動き、スクリーンが広がる。
魚「わあ・・もう少しで始まるよ。」
魚女が小さな声でささやいた。
フッ・・!
そのささやき声を聞いて俺の脳内でなぜか記憶回路が作動する。
(そういえば・・むかし映画館で発情したヤツいたなあ・・誰だったっけ?大阪子だったかなあ・・。)
清楚な彼女を隣にして、俺の思考は明後日の方向へ飛んでいた。
(彼女が映画館でエッチしたがる女じゃなくてよかった。)