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付き合ってわずか2ヶ月で彼女に振られた理由がトラウマ

最近彼女が全然会ってくれない。

彼女は料理が得意でおしとやか、そして若干のぶりっ子だ。彼女の名前は魚女という。

付き合ってまだ二か月の俺たちだけど、最近は会う頻度がどんどん減っている。

付き合い始めた頃は週に3回は会っていたのに、2週間も顔を見ていない。メールのやり取りも目に見えて減ってきている。ラブラブだった時間は実に短い。

 

(・・この変化はどういう事だ?)

「最近ちょっと冷たくない?」と彼女に問うものの、

「ごめんなさい仕事が忙しくて・・」「メールよりも電話がいい」という返事が来る。

 

(距離を置かれるような事をしたっけ・・心当たりがない。)

最近はそんな彼女のペースにも慣れてしまい。こちらから連絡をする回数も減っている。

もうすぐハロウィンだの紅葉だの・・クリスマスだの正月だの。秋冬のイベントが目白押しだと言うのに・・。

久しぶりに会える!彼女から呼び出し

スマホ

そんな折、魚女から電話の着信が入る。

「もしもし?」

魚「YUちゃん?」

「おう!久しぶり!そっちから電話ってめずらしいね!」

ちょっと嫌味っぽく聞こえたかもしれないが、一週間ぶりに彼女の可愛い声を聞いて嬉しかった。

 

魚「なかなか連絡できなくてごめんね・・元気?」

「全然ええよw元気!いろいろ元気!」

魚「よかった・・。あの・・急なんだけど明日予定ある?」

「明日?・・特に予定ないけど?」

魚「じゃあ・・会えないかな?」

「いいね!久しぶりにご飯でも食べに行こうぜ!」

思い返してみると、実に2週間ぶりのデートということになる。

(思いっきりイチャイチャせねば!)

暗い声の電話とそっけないメールに胸騒ぎ

胸騒ぎ

魚「・・うん。じゃあ私の仕事が終わるのが7時くらいだから・・午後8時でいい?」

俺のテンションと引き換えに彼女の声はどこか暗い。

「おう・・。」

魚「じゃあ明日また電話するね。おやすみ。」

特に世間話をするわけでもなく、「会おう」という要件だけを伝えられ、二人の短い会話は途切れた。

 

「ご飯どこで食べる?博多駅でいい?」

俺はデートする場所を決めておこうと思い、すぐにメールを送った。

魚「YUちゃん家の近くでいいよ。」

うちの近く?久しぶりのデートだと言うのに少し味気ない。

 

「涼しくなってきたし、モツ鍋とかは?うちの近くの有名なモツ鍋屋行こうか?」

魚「うん。それでいいよ。」

そっけないメールを終えると、布団に入って目を閉じる。

 

「ウーーーー!」

遠くでパトカーのサイレンの音が聞こえる。その音を聞いて俺は少し不安になった。胸騒ぎでなかなか眠りにつけない。

彼女と会えるのに嫌な予感すっごい

嫌な予感

翌日。魚女との2週間ぶりデートの日だ。俺はチェックシャツをはおって、ZOZOTOWNで買った安物のブーツを履く。

20代の頃は服を買うとなると、デパートに足を運び身なりにも気を使っていたが、オッサンとなった今はもっぱら通販サイトで無難な服を買っている。

 

「ふう・・」

小さくため息をついてポケットの鍵を鍵穴に鍵を差し込んで回す。ちゃんと鍵がかかっているか扉を一度引いて確認する。いつもの行動もどこかぎこちない。俺は何か嫌な予感がしている。

嫌な予感がしている理由は、

  • 久しぶりに会う彼女が急に「会いたい」と言ってきたこと。(いつもは前もって予定を組む)
  • 誘ってきた割に彼女が全然乗り気じゃない。

楽しくデートをというより、他に別の目的があるような気がした。

決戦のモツ鍋屋へ

自宅から徒歩3分。向かったのは博多ベスト5にも選ばれるモツ鍋屋「おおいし」だ。

彼女は既に店内にいるらしい。

(いつもなら店の前で待っていてくれるはずなのに・・。)

ちょっとした違和感が、とてつもなく大きく感じる。

 

「あの・・連れがいるんですが。」

店内に入り、若い女性店員に席へと案内される。店内はガヤガヤと騒がしい。

(・・魚女はどこ?おっ・・いた!)

サラリーマン客を躱しながら、席へたどり着く。

 

「おつかれ~!」

俺は無理に明るい笑顔で挨拶をして、彼女の前へ座った。

 

魚「こんばんわ。ごめんね急に来てもらって。」

「なにを仰る!久しぶりのデートやけん嬉しいよ。」

魚「じゃあモツ鍋頼もっか。飲み物は?ビールでいい?」

「お、おう。相変わらず気がききますな!」

ビールで乾杯。モツ鍋が運ばれてくる間、酢モツと枝豆をつまみに間をつなぐ。

 

一杯目のビールをくいっと空けると、メインのモツ鍋が到着。魚女が菜箸で手際よく鍋の中に野菜を入れていく。その姿はとても様になっていて少し誇らしい。

「私達別れよっか?」彼女の口から突然の別れの言葉

別れ

モツ鍋が沸々と音を立てて野菜を飲み込んでいく。ちょっと火力が強すぎる。

魚「ねえYUちゃん・・。」

彼女は小さい声でつぶやいた。

「ん?どした?ビールおかわり?」

魚「私達さ・・別れよっか・・。」

彼女は表情なくそう言った。

「え!?」

賑やかな音が止んだ。彼女からの言葉を理解するまでの数十秒間、俺は煮えたぎる鍋の中をじっと見つめていた。

あはは・・あは・・別れの言葉が急に来た。本当のメインはちょっと重そうだ。

 

彼女が取り分けてくれたモツ鍋がテーブルの俺ゾーンに置かれる。

「ん?なんか今変なこと言わなかった?」

俺は聞き返す。もしかすると「モツもっと入れよっか?」の聞き間違えかもしれない。

 

魚「私達もう別れよう。」

彼女は少し苦笑いをして言う。

 

(・・聞き間違いなんかじゃなかった・・。)

ビリビリと全身に電気が走るような衝撃が走る。俺は思ったよりも取り乱していた。

血の気が引いていくかと思ったが、逆に顔面に血液が上り紅潮していく感覚を覚える。

それを少しでも沈めるために、右手でジョッキをつかんでアルコールを求め、喉に流し込む・・今年で一番マズい。

彼女にフラれる別れの理由は?

フラれる

「な、なんで?俺たちまだ付き合ったばっかりじゃん。付き合って二か月じゃん。」

俺は狼狽えて言う。

魚「言いにくいんだけど・・正直に言っていい?」

なぜ美味しいものを食べようという瞬間に・・そしてこんな大勢の人がいる空間で別れ話をするのだろう・・。空気嫁!

 

それにしても「言いにくい」別れの理由ってなんだろう?

  • ハゲが生理的に無理
  • 最近出てきた加齢臭
  • コスプレや電マを使う変態っぷりが気に入らない
  • もともと好きじゃない

弱点ばかりの男だ。原因はいくらでも思いつく。とにかく別れの理由を聞いて、俺が傷つく率は高そうだ。

 

「・・うん理由教えて。」

魚「それじゃあ言うね・・ふぅー!」

ドキドキが止まらない。心臓を止めたい。

「好きな人ができたの」砲はキツイって!

魚「あっ鍋煮えちゃってるね。火加減弱くするね。これでよし・・じゃあ続きね。」

・・今回ばかりは彼女の気遣いがもどかしい。すでに食欲など失っている。緊張で乾いた喉をビールで潤すばかりだ。

 

魚「実は・・好きな人ができたの。」

ベタな別れのセリフだ。だが、今まで生きてきてで耳にすることなかった言葉だ。

せめて優しい嘘をついて

人は嘘をつく。相手が傷つかないように・・そして思った方向へと物事をスムーズに運ぶために嘘をつく。

彼女は正直者という事だろう。そして正直者は残酷だ。せめてバファリンのように優しい嘘でコーティングしてくれ。

 

「ふーん・・そうなんだ。」

俺は、できるだけ冷静を装って、その濃厚なスープをすする。・・味がしない。

「憧れの人」俺は二番手だった。

間男

(好きな人?人の彼女をたぶらかす間男が!)

俺はこみ上げる何かを抑え冷静を装った。

 

魚「好きになった人はもともと友達で、その人にずっと憧れてたの。」

(憧れの人ってか・・反吐が出るぜ。チクショウこの尻軽女めが!)

俺は、ギリギリと奥歯を噛み締めた。

 

魚「YUちゃんとお付き合いすることになって、9月に偶然その人に会ったの。それからご飯に誘われて・・」

その男の話をしている彼女は恋する乙女の顔をしていた。

 

「・・言うな。」

魚「えっ?」

「それ以上言うな。・・皆まで言うな。」

魚「う、うん。わかった。」

俺のHPも残り少ない。あと一撃で天に召される所存である。

彼女がずっと憧れてた男。会ったことはないがここで彼女に何を言っても無駄だ。きっとそいつには敵わない。

 

間男は俺だった。俺だったんだ。魚女が「本当の恋」をするまでの。

 

「あはは・・とりあえず美味しいモツ鍋食ってさ、これからがんばれよ。」

何をがんばるのかわからない。俺ファイト!

モツ鍋をもう一口。

(今度は何故だかしょっぱいんだなあ~。)

フッといて泣く女ってズルい。

泣く女

突然の別れ話にショックがデカすぎて鍋の旨さもわからないまま時間だけが過ぎた。

俺たちは店を出た。足に力が入らない。

 

魚「YUちゃんほんと今までありがとう・・ごめんね・・ごめんね。」

彼女はそう言って涙を流した。嗚咽が激しく漏れている。

ここで泣くのは卑怯だ。これが最後の「ぶりっ子」なのかもしれない。

 

(号泣したいのはこちらでゴザイマース!)

通り過ぎる人、信号待ちをしている人たちが「何事か」という表情でこちらをジロジロと見ていた。

 

「俺も楽しかったよ。・・結ばれるといいね・・その憧れの人と。」

俺は感情を必死で押さえつけ、棒読みで言うのがやっとだった。

別れてくれてありがとう

わからない

魚「うん・・ありがとう、ありがとうYUちゃん。」

一体俺は何にこんなに感謝されているんだ?

 

魚「別れてくれて。」

むむ?別れてくれてありがとう?

「ありがとう」の言葉が出る度に、俺の全身に違和感が駆け巡る。

 

「今までありがとう」ならわかる。

「一緒にいた時間は楽しかった。ありがとう。」ならわかる。

「別れてくれてありがとう」ってなになになーに?

 

でも俺に反論する体力は残っていない。ボロボロだ。

「じゃあ・・俺はこの辺で・・」

魚「うん。サヨウナラ・・。」

 

(ヤベエ・・涙が出そう。)

俺は早足で自宅へと歩き始めた。

(振り返るな・・振り返るな・・。)

ピタ。やっぱり・・振り返る。

 

・・彼女の姿はもうすでに無かった。

消えるの早ええ!忍者かよ!(泣)

下手に近所の店をチョイスしたせいか、おおいしの前を通る度にあの日の思い出が蘇ることに・・。

おおいし

※別れの場所ですwウチの近所すぎて笑えるw

彼女の存在を携帯から消去していく

自宅へ帰ると、シーンという無音さが虚しい。俺はソファへと飛び込み、寝転がって膝を抱える。

 

「ガタン!」

いつもは壁ドンをくださるお隣さんの生活音すらありがたい。

 

「まだだ・・まだやることがある。」

オレは携帯を取り出し、メール、電話番号、そして写真・・。

彼女の存在を少しずつ消して行く。

 

「こんな話したっけ?」

「ああ・・この頃には既に憧れの人のほうに気持ち行っちゃってたんだな・・」

数少ないメールに感傷的になりつつ消去していく。・・指が震える。

 

(なんだ・・これ・・すっごいストレス。)

彼女の思い出を消すことで、気持ちが晴れると思ったが、逆効果だった。

それでも俺は震える手を動かしつつ作業を続けた。早くいつものクズに戻りたい。

 

そして・・2年半後。俺は魚女と再会を果たす。それはまた別の話。

 

続く➡元カノにLINEしてみた!再会したらめっちゃキレイな女になっちゃって。